01
公園・ベッド・同居人。
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公園の砂場の上に、月明かりが落ちていた。
静かな夜だ。
私はベンチに座って、
数分前まで自分が寝ていた部屋を見上げていた。
公園の北側に建つタワーマンションの一室に、
私のベッドがある。
リンネルのシーツと、肌に馴染んだ毛布。
その間にからだを滑り込ませ、さっきまで私は眠っていたのだ。
夜の湿り気を帯びた公園は、ひっそりと息を潜めたまま、
誰か来るのをただ、待っているようだ。
けれど、誰も来ることはない。
きっとこのまま、夜が明けるだろう。
私は何事もなかったことに安堵し、あるいは落胆し、
帰って行く。
もう、私の体温を忘れてしまったベッドへと。
エレベータの直方体は、垂直移動で私を上に運ぶ。
扉が開き、左足からゆっくり歩き出す。
私の部屋は、東の角部屋の隣に位置する。
五拾歩に満たず、ドアに着いた。
中には、私の同居人がいる。
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