06
物語の続きは、ない。
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同居人は、朝食を摂らなかった。
代わりにワインを空にした。
仕方なく、私はひとりで朝食を済ませた。
同居人は私の様子を見ていたが、
何も言わなかった。
ただ、私のために冷たい水を用意してくれた。
ささやかな朝食のあと、
私は壁際に場所を確保し、ストレッチをはじめる。
入念に、正確に。
同居人は不思議そうに私を見ている。
まるで、偶然居合わせた土地の、
見たこともない祭りでも見るような面持ちで。
私はしかし別段、構えることなく、
淡々と、日課のストレッチを続ける。
入念に、正確に。
同居人は床に座り、
本の続きを読みはじめたようだ。
けれど、画家とモデルの物語に続きはない。
ページの先では、
別の物語がはじまっているのだ。
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