×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

novel

03

景色を、見る。     
……………………………………………………………………………………
朝日が空に上がってきたらしい。
プリーツスクリーンが淡い乳色に染まりはじめた。
同居人は読んでいた本を床に置き、
私の背中に軽く触れ、
立ち上がり、窓を八糎ほど開けに行った。
部屋に風が入ってきた。
本のページが後戻りする。
私は慌てず、読みかけだった見開きの、
ノンブルを記憶しておく。
同居人は戻ってこない。
ベランダへの掃き出し窓から、
さしてよくない視力で遠くを見ている。
私は大きく伸びをして、
仕方ない、という風情で同居人の横まで移動した。
ふたりの目線の差が、
見える景色を違うものにしているだろう。
私はそう思い、何か言いかけ、
そして、やめた。
同居人は私に、グラスを持って来て欲しいのだろう。
けれど、私がそうしないことをわかっている。
 
NEXT BACK

copyright (C) 2008 design gaga inc. all rights reserved.